こんなん書きました。

日々の雑感をつらつらと。あるいは手に入れたアイテムのオススメなポイント、運用方法などをご紹介してみたり。

今こそ見るべき? 「Free to Play: The Movie (US)」

youtu.be

もう4年も前にアップされた動画だけれども。
日本国内でのeスポーツを巡る環境が大きく変わった、いや、変わりつつある今見ると、また感慨深いものがある。
総額160万ドルというそれまでの常識では考えられない高額の賞金が設定された大会の出場者を追ったドキュメンタリーだ。
この大会に使われている『Dota 2』というチーム対戦型のリアルタイムストラテジーゲーム。100種類もの「ヒーロー」と呼ばれるキャラクターから各プレイヤーが1体ずつを選び、5対5で争われる。
eスポーツに携わるいろいろな人のコメントを挟みつつ、3人のプロゲーマーを軸に大会の流れを追いかけていく構成で、『Dota 2』がどういうゲームなのか知らずとも、
「eスポーツどはどんな世界なのか?」
その一端がとてもよくわかる構成になっている。
 
映像のなかでは、ハーバード大卒でNBA初の台湾系アメリカ人であるブルックリン・ネッツのジェレミー・リンが語っている。

「いろんな意味でバスケットボールに似ているよ。
 5人対5人でチームとして動いて個人の強みを最大限に活かしつつ相乗効果を生む。
 チームワークと信頼、そして犠牲。
 すべてのチームスポーツと同じだよ。」

  
1日の何時間もを練習に捧げ、戦術的な研究と理解、そしてそれを実践するテクニックを磨かないとならず、「たかがゲーム」なんていうレベルではとてもではないが勝ち進むことはできない。
この映像でピックアップされている何人かの選手は、まさに人生のさまざまなものを犠牲にしつつ、そして旧世代の無理解と戦いつつ、ゲームに打ち込んでいる。
一部の選ばれし者だけが栄光を掴めるというその構図も含め、eスポーツが持つ競技性はまさにそう、ほかの「プロスポーツ」となんら変わりはない。
 
賞金総額160万ドルという大会が実施されたことに対する、タミー・タンの言葉も印象深い。

「これから何か大きなことが始まるんだって思ったわ。
 革命みたいな……。
 濡れ衣を晴らすときが来たのよ。
 ゲーム中毒だからプレイしているんじゃない。
 動機となる目標ができた。
 実力さえあればそこに手が届くのよ。」

  
eスポーツを「たかがコンピューターゲーム」と蔑むなら、その言葉はそのまま囲碁将棋も含めたほかのプロスポーツにも当てはまるってことを理解したほうがいい。
たとえば野球だって、サッカーだって、囲碁や将棋だって、プロがプロとして成立した黎明期には、きっと今のeスポーツと同じ扱いだったはずなのだ。
「たかが○○」と。
 
ただ、eスポーツを理解するうえで踏まえておかなければならないのは、その特殊性だ。
競技を構成するその中心となるものが、私企業が開発する営利的な商品であるという点。
ここがまさにほかのレガシーな「スポーツ」との最大の違い。
だからこそ、オリンピックを含めた国際競技大会には相応しくない、という意見もある。
確かにその意見は一理ある。
が、しかし。
1984年のロサンゼルス大会を機に大きく商業路線へと舵を切り、スポンサー企業以外のロゴがついたものを選手は身に付けることもできないような今のオリンピックには、実はeスポーツこそぴったりなんじゃないの?なんてことも思ったり。
 
今のゲームやeスポーツに疎い人にほど観て欲しい動画だなぁ。