こんなん書きました。

日々の雑感をつらつらと。あるいは手に入れたアイテムのオススメなポイント、運用方法などをご紹介してみたり。

ルー・リードとビロード革命。 ~『映像の世紀バタフライエフェクト「ヴェルヴェットの奇跡 革命家とロックシンガー」』~

ちょこちょことCATVのSTBにつないだHDDの整理とバックアップを進めている。
「こんな番組が放映される」というネットの情報に触れたときに、何か引っかかるものがあれば、いつ見るとはなしに録画予約をする、ということを続けていて、気づけば30くらいの番組がHDDにたまっていた。
どうでもいい話だが、録画に使っている2.5インチのHDDは、PS4 Proから外したもの。USBの外付けケースに入れてこれを録画用としているわけだ。
2.5インチのHDDはUSBのバスパワー、5V1Aで駆動するから別途電源を用意する必要がなく、配線がシンプルになってよい。
録りだめた番組は音楽のコンサートを収録したものが多いのだが、なかにはいくつかドキュメンタリーも混じっている。
そのひとつが、これ、『映像の世紀バタフライエフェクト「ヴェルヴェットの奇跡 革命家とロックシンガー」』だった。

https://www.nhk.jp/.../ts/9N81M92LXV/episode/te/WKRMK8NPRK/

プラハの春も、ビロード革命も、学校の授業ではなく、小説を中心としたいろんな著作物などを通してうっすらと、本当にうっすらと知ってはいたけれど、その背景にルー・リードのバンド、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドがここまで大きく影響していたとは。
きっかけは後のチェコスロバキア大統領、さらにチェコ共和国初代大統領にも就任する劇作家のヴァーツラフ・ハヴェル
彼が書いた戯曲『通達』が1968年にニューヨークで上演されることになり、訪問していたアメリカからヴェルヴェット・アンダーグラウンドのアルバムを買って帰ったことに端を発するのだそうな。
ハヴェルが持ち帰ったヴェルヴェット・アンダーグラウンドのアルバムはチェコスロバキア国内でコピーされまくったという。
ゲイであることを公言していたルー・リードが書く自由に満ちた曲の数々は、プラハの春ワルシャワ条約機構軍を介したソ連の軍事侵攻によって潰えて以降、共産主義体制下で抑圧されていたチェコスロバキアの若者たちを魅了。
「プラスティック・ピープル・オブ・ザ・ユニヴァース(The Plastic People Of The Universe / PPU)」という反体制派を象徴するようなバンドも生み出した。
ハヴェルやPPUのメンバーは当時の政府に逮捕されたりしながらも表現の自由を勝ち取るための活動、人権運動を止めなかった。
こうしたアンダーグラウンドな活動が結果的にビロード革命へと繋がっていくのだな。
大統領となったハヴェルは革命の翌年である1990年、アメリカの雑誌からインタビューを受ける際にインタビュワーにルー・リードを指名。ハヴェルがヴェルヴェット・アンダーグラウンドのアルバムをチェコスロバキアに持ち帰ってから20年あまり。ここではじめてリードは自分の音楽がチェコの革命に一役買っていたことを知ったそうだ。
ハヴェルとリードは終生交遊を深め、1998年にハヴェルがホワイトハウスへ招待された際には晩餐会においてリードの演奏をリクエスト。これに応えてリードはホワイトハウスで自分たちの曲を演奏したとのこと。
この辺りのやり取りはクーリエ・ジャポンにもまとめられていた。
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courrier.jp


日本語でいうビロード革命は、英語では「Velvet Revolution」。
起点となった軍事介入等を除けばほぼ無血でビロード(ヴェルヴェット)のように滑らかに成就した革命、というのがこれまでの知識だったが、番組内で明言こそされていないけれど、その名称にはヴェルヴェット・アンダーグラウンドの存在もなかば直接的に影響してたわけだな。
おもしろかった。
こういう番組を作れるところがやっぱりNHKのスゴさであるよ。
受信料を払っていることを満足させてくれる、こういう番組を作り続けて欲しいなぁ。