もうだいぶ経っているけれど。
最後まで「好きになれない人がひとりも出てくることがない」まま、物語は見事に幕を閉じた。
本編最終話はなんとかこらえたのだが、描き下ろしの追加エピソードに負けた。
これは泣く。
その狩野が住む風呂なしアパートの隣室に、ある日、コタローと名乗る少年が越してくるところからはじまる物語だ。
4歳児とは思えないほどしっかりし、タイトル通りに未就学児でありながら、親もなく一人暮らしをはじめるコタロー。
そのコタローにはいくつものちょっと変わったところがある。
なぜコタローは高級ティッシュペーパーを使うのか。
なぜコタローは何紙もの新聞を取り続けるのか。
なぜコタローはアニメ番組の主人公である「とのさまん」を真似た“殿様語”で話すのか。
物語が進むにつれ、こういったコタローのあれこれとともに、コタローが一人暮らしをはじめるに至った経緯が、少しずつ、ほんの少しずつ明かされていく。
原作について言うならば、はじめの頃はちょっとあざとさが目についたりもする。
けれど、そこは好みもある部分だろう。
きちんと伏線を畳んだ、悪くないエンディングだった。
この作品は実写ドラマにもアニメにもなっていて、奇跡的なことに、それらどっちもがよくできている。というか、むしろアニメよりも実写ドラマのほうが数段素晴らしい。
これはもう、ひとえに配役の勝利。
ぜんぜんアイドルに見えない顔立ちなのだが、この人がホントにはまり役なのだ。
強くありたいと願うコタローに友達のように、でもあくまでもおとなとして接し、見つめ、そしてコタローの行動が持つ意味に「気づく」。そんな狩野を横山は好演している。
実写版はシーズン2として「帰ってきたぞよ!コタローは1人暮らし」も作られ、こちらもおもしろい。
しかし、主人公を演じる子役・川原瑛都くんが成長してしまってコタロー役に無理が出てしまっているのが惜しい。
想像力というフィルターでシーズン1当初の姿を重ね合わせて映像を観るという観客側のスキルが問われる作品になってしまっているのがなんとも残念だ。
倫理的な面など技術以外のところにこそいろいろ難しい問題を抱えている気はするが、今後、AIによるCGがこうした時間の経過という不都合を覆い隠していくことになるのかもしれない。
【アニメ版】