儲からないからって客から選ぶ楽しさを安易に奪わないで。
宅配ピザってほとんど食べないんだけど、コロナ禍で店舗を大幅に増やしたドミノ・ピザが一転して大量閉店に追い込まれている、という記事を興味深く読んだ。
www.itmedia.co.jp
この記事はYahoo!にも転載されていて、そちらに寄せられていたかつて6年ほど働いた経験があるという人のコメントには、
「変わり種たちは廃止されました。
数こそ出ませんでしたが根強いファンはいました。」
っていうことが書かれていて、実はこれってとても大事な部分なんじゃないかなぁ、って思った。
こういうのって「選ぶ楽しさ」が顧客の体験としてはとても重要だと思ってる。
たとえ結果的にはいつもと同じもの、無難なものを選ぶとしても、だ。
工業製品のカラーバリエーションと同じで、「選択肢がある」ことこそに価値があると思うのだよ。
もひとつ。
人気は高くないけど、確実にファンがいるならば、安易にそれを切り捨ててはいけない。
不人気なものを支持する人のほうが熱量が高いことは往々にしてある。
なぜならそういう不人気なものはたいていが「ほかの店やブランドでは手に入らない」からだ。
たとえばピザで言うならマルゲリータなんておそらくは人気も安定していて廃止されることはないだろう。しかしどこの店にもあって、チーズのクォリティをよっぽど上げるなどしない限り差別化はしづらい。
つまりは「人気のメニューに絞る=他店と差別化の難しいメニューで真っ向勝負」となってしまうわけだ。
一方、不人気なメニューはたいていの場合、「ここでしか頼めない」ものであるわけで、このメニューを存続させ続ける限り、愛している人はほかの店へと流れることはない。
店やブランドの人気を下支えしている人たちは、実はこういうこういう不人気商品を愛する人たち、とも言えるのかもしれないわけだ。
こういう不人気メニュー愛好者たちは、愛する商品やモデルが失われてしまえば、おそらくは店やブランドから「裏切られた」と感じるだろう。
ただ離れて行くだけならまだいいが、それまでの好意が強ければ、その反発は比例して大きくなるし、自分の裏切られた思いを周囲に伝えたり、SNSで吐露したりといった行為に出ることも容易に想像できる。
飲食店のメニューにしろ、工業製品のカラーバリエーションにしろ、不人気、と表面的な数字だけで安易に切り捨てるのではなく、たとえ採算ラインに達していなくとも、ある一定の支持を得ているなら「それがどんな人たちからどのように得られている支持なのか」を考える。
これはファンマーケティングの観点からはとても大事。
たとえ数字に反映されることはなかったとしてもそこに高い熱量があるのなら、それは大きな財産であると言える。
安直に切り捨てるよりもその財産をどう活用するかを考えることこそ、ブランドの価値向上につながるはずだ。
このシェアした記事でも結論としては、
「ドミノ・ピザが退却戦の泥沼から脱するには、ピザハットのようにこれまでのイメージを一新し、同業他社を圧倒する新商品開発または店舗開発が必要だろう。」
と書かれている。
差別化は大事。
でも、他社を圧倒する新商品の開発なんて、容易なことではない。
まずは使ってる食材のクォリティを見直して今あるメニューのおいしさを向上させるとともに、かつて存在した独自のメニューをできればかつて愛されていたそのままの姿で復活させる。
これだけでも、アピールの仕方を間違えなければそれなりの効果を生みそうだけどね。
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こんなん書きました。
バーミキュラ本社の取材記事、後編。
前編ではバーミキュラというブランドの成り立ちと特長を中心に紹介した。
後編である今回は、同社の新主力製品「オーブンポット2」の発売によって可能になった「リクラフトプログラム」を掘り下げている。
バーミキュラのサポート戦略 顧客の鍋を「造り直す」その真意:日経クロストレンド(この記事は2024年4月17日 10:32まで無料登録せずに読めます)
自分が使っている製品を返送してホーローコーディングをやり直してもらうサービスが「リペアプログラム」だ。
「リクラフトプログラム」は文字通り、再度作り変えてもらうサービス。
たとえば初期型のオーブンポットから、オーブンポット2へのリクラフトも可能だし、その際にサイズや色を変更することもできる。
サイズが変われば必要となる素材の量にも増減が生まれるから、リクラフトではリペアのように預けた製品が個別に作り変えられるわけではない。
複数のユーザーから返送された製品をグループ化し、それを再溶解して新たな製品へと作り変えるのだ。
バーミキュラの製品はただの鋳鉄でなく、複数の素材を配合して作られている。
それぞれの素材の分量や配合する順番などには厳密な決まりがあり、それを外れると不良品の山となってしまう。
原材料や電気料金の高騰からの値上げに対してユーザーから届いた意見をきっかけにその製品づくりの根本を見直すことで、素材の配合などのルールを改善。
素材の再利用などを可能にすることでコストを下げ、値上げから一転して今度は値下げを実現。
さらにそこからリクラフトの可能性を引き出した。
一般的な企業だったら「値上げやむなしとして決断したことだから」と届いたユーザーの意見を一蹴してしまうことが大半ではなかろうか。
この「立ち止まって企業が自らの足下を見直す」ことがどれだけ難しいことか。
さらりとやってのけ、さらにこれが新たな主力商品「オーブンポット2」の誕生にもつながるというところにドラマを感じる。
リンクを貼った後編の記事では、その辺りのことを書いている。
バーミキュラの製品を買うならば、オーブンポットもフライパンも、ぜひ実演を見るか、自ら体験してみてから買うのがおすすめだ。
特にフライパンはコーティングのフライパンではタブーとされてきたようなことがマストで求められたりするので、実際に見て納得した方がより上手に使いこなすことができるはず。
その「体験」ができたのが名古屋のバーミキュラビレッジだったり、代官山にあったバーミキュラハウスなんだけれど、残念ながら代官山は移転のため休業してしまった。
どこに行くかはすでにほぼ決まってはいるものの、その移転先の事情で詳細はまったく情報を出せず、ただその時期だけを「2025年夏」としている。
ただ、バーミキュラの公式サイトにある取扱店リストを見ると、「認定スタッフ常駐店舗」が示されている。もしかしたら、それらの認定スタッフがいる店舗なら体験してからの購入ができるのかも。
バーミキュラと幼少期の思い出にある「匂い」の話。
こんなん書きました。
調理器具ブランド「バーミキュラ」を展開する愛知ドビーの取材記事。
今や名古屋市の観光スポットにもなっている「バーミキュラビレッジ」での社長、副社長へのインタビュー、それに、本社の鋳物工場も取材させていただいた。
バーミキュラというブランドの誕生、世界でも類を見ない「購入した製品を新製品や違うサイズに作り変えてもらう」というリクラフトプログラムの背景など、いろんなことを聞いて、前後編の2回でまとめてある。
オーブンポットでもフライパンでも、バーミキュラの製品を買うと、その製品を使って作る料理を網羅したレシピブックが同梱されている。
そのレシピブックにもバーミキュラ誕生の経緯は書かれているんだけれど、やはりインタビューで聞く生の声はそれ以上にさまざまな情報が含まれていて、ホントに楽しかった。
代官山にバーミキュラハウスがオープンしたときのメディア内覧会で見た高性能なフライパンへの驚きと、そのときにお土産にもらった10cmサイズのオーブンポットのスゴさで一気に惚れ込み、担当編集者の平野さんとともに、「いつかは工場の取材したいよね」と話し合っていたのがついに実現した形。
バーミキュラハウスの取材が2021年12月だったから、記事が形をなすまでに、2年半もかかってしまったことになる。
祖父が作った鋳物工場がピンチだとまず兄であり社長の土方邦裕氏が愛知ドビーに入社。
さらに弟であり副社長の土方智晴氏を誘い、2人でなんとか収益を向上させはしたけれど、下請けという業態を続ける以上、抜本的な解決には至らない。
何より、そこで働く職人たちにドビー機を作るメーカーだった当時のような輝きがない。
そんなときに訪れたのが、ネットの普及によるECサイトの隆盛だ。
これを活用すれば、販路を開拓せずとも顧客に直接製品を届けることができる。
ECサイトがうまく活用できれば、職人たちが「これが自分たちが作っている製品だ」と誇りを持てるような製品を作り、直接に顧客に届けることができるのではないか?
そう考えてオリジナルの製品作りがはじまるわけだ。
なんつぅか、バーミキュラの成り立ちから今に至る話って、もうホントにドラマチックなんだよね。
話はそれるが。
私は祖父母の家があった川口市で生まれ、小学校に上がる直前までそこで過ごした。
当時はまだ周囲は鋳物工場だらけで、鉄を溶かしたときの独特の匂いが始終あたりには漂っていた。
が、見る見る鋳物工場はその数を減らし、アパートやマンション、スーパーなどへと変わっていった。
1997年から約10年のあいだ、その祖父母の家だったアパートの一室に暮らしていたが、その間にも工場はどんどんと減り、あの独特の匂いもわずかに残った工場の周辺だけに漂うものとなってしまった。
当時でさえ「鋳物の街」「キューポラのある街」なんて呼ばれたことは遠い過去の記憶となってしまった感があったが、今ならさらに、だろう。
実のところ、今回の取材では、幼少時の記憶に付随した「あの匂い」をかげることに少し期待していたところがある。
愛知ドビーの工場では確かに似た匂いがした。
が、正直なところ、記憶のそれとはちょっとだけ違っていたのだな。
愛知ドビーの工場は、川口にあったものよりも大規模で、各工程の作業場が独立していた。
さらにいえば、換気なども比較にならないほどしっかりしていた。
その違いを知ってはじめてわかったのが、記憶にあったあの匂いは、鉄を溶かしたときの匂いであり、金属を鋳型に流し込んだときの匂いであり、できあがった製品を削って仕上げるときの匂いであり、つまりは鋳物を作るすべての工程で発生する匂いであり、それらが複雑に混じり合って生まれたものだったのだ。
これ、有料記事、なのかな? もしかしたら無料のID登録だけで読めるのかもしれないけど、いずれにせよ以下のリンクからだと約24時間だけIDの必要もなく無料で読める。
時間はかかっちゃったけど、頑張って書いたので、おひまなときにでも、ぜひ。
あ、後編は明日、16日火曜の公開です。
「一生使えるホーロー鍋」 バーミキュラの葛藤と前代未聞の答え:日経クロストレンド(この記事は2024年4月16日 12:12まで無料登録せずに読めます) https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/casestudy/00012/01427/?gift=Yz%252Fd1cBC7b%252FR7REr5Oca3dM1NUm2PG3edcqL2isUnN0%253D&n_cid=nbpnxr_gift
唐突に2023年振り返り。「コタローは1人暮らし」
【アニメ版】
ルー・リードとビロード革命。 ~『映像の世紀バタフライエフェクト「ヴェルヴェットの奇跡 革命家とロックシンガー」』~
https://www.nhk.jp/.../ts/9N81M92LXV/episode/te/WKRMK8NPRK/
きっかけは後のチェコスロバキア大統領、さらにチェコ共和国初代大統領にも就任する劇作家のヴァーツラフ・ハヴェル。
釣りと料理の共通点。プロセスを楽しむということ。
それはともかく。
キャッチ&リリースしかしないってケースでも、私の周囲を見回してみるに、釣りを楽しむ人は料理ができるケースがそもそも多い気がする。
料理ができるかできないかで言えばできる人ばっかりだ。
外遊びのときには自分のご飯くらいなんとかできなたほうが、楽しみが増すこともあるしね。
釣り友達の大半は料理ができる。これには釣りも料理も楽しさの構造がとても似ていることが大きく影響していると思う。
釣りたい魚、シチュエーションを想像して道具を買い揃える。
釣行日程を立てる。
釣りって遊びを乱暴に分解してみるとこんな感じだろうか。こうして並べてみれば明らかなんだけど、釣りって遊びはただひたすらにこれらの繰り返しであり、私ら釣りを楽しむ人はたいていがこれらひとつひとつの要素をどれも楽しんでいる。
釣れないよりは釣れたほうが楽しいのはもちろんだ。しかし、釣りという遊びにこれから染まっていく初心者ならともかく、ずっぽりと首まで浸かった人間にとっては、「釣れたかどうか」は一連のルーチンにおけるほんの些細な分岐条件のひとつに過ぎない。そもそもが、だ。プロセスを楽しめない人は、結果の如何で継続性が左右される。「釣れないからやらない」って人は「趣味は釣りです」と言えるほど、釣りという遊びを長く続けない。結果の如何に関わらず、過程と、さらには結果が出た後に楽しみを見出した人だけが釣りを趣味としていくのであるよ。もっとも、私の周りには釣りの合間に仕方なく人生を送っているような人ばっかりな気がしないでもない。はたしてそれらの人にとって、釣りを「趣味」と呼んでいいのかどうかは大いに疑問の余地がある。
話がそれた。
料理って行為を考えてみるに、けっきょくは出口に「食べる」というクライマックスが待つ、プロセスを楽しむ行為なのだと思う。食べたいもの、作りたいものを考えて材料を揃えるところからはじまって、食べるという行為でいったんは完結。うまくいったらそれを喜び、失敗したら反省を次に活かすことを考える、というループを楽しむわけだ。
もちろん「家族のため」とか、あるいは「仕事」としてとか、「義務」として「やらされている」ために、「楽しみなんてひとつも感じない」っていう人はいるだろう。
料理をする人、できる人は、やっぱり「プロセスを楽しめる人」なのだと思う。
LTVって言葉、知ってる?
LTVとは、Life Time Valueの略で、日本語では顧客生涯価値、みたいな言葉が当てられている。
であれば、だ。
選ばれたからにはきちんと顧客に楽しみなどの利益を与え、ずっと使い続けてもらうことが、結果的には利益の確保という点でより効率的、という話が生まれてくることは半ば必然と言える。
ユーザーとしての経験が豊かであれば、それは良質の口コミを生んで、新規顧客獲得にもつながっていき、数ある選択肢のなかでの差別化を生み、最終的には「選んでもらえる状況」につながっていくからね。
「顧客を飽きさせないよう、お金を払うに足ると思える体験と刺激を提供し続ける」ことは今後、今まで以上にとても大事なことになっていくと私も思う。
■■――
社内の事情に直結しすぎてて書けないものとかがあって、ここに挙げたのはごく一部。「働き続けることのメリット」を最大限に活かすため、結婚、出産、幼稚園や保育園への入園、小中高大学への入学・進学など、人生の節目節目に会社がお祝いを出すのだ。同時に家事支援、食事支援といった、単身者へのサポートが手厚いのもスゴい。
パールアビスジャパンとは逆に、そういう点で昔からちょっとどうかと思っているのが携帯電話会社の施策。
