こんなん書きました。

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『「十人十色」ガラスの展覧会vol.7 ~神楽坂ガラスさんぽ~』

昨日はこの『「十人十色」ガラスの展覧会vol.7 ~神楽坂ガラスさんぽ~』なるイベントを楽しんできた。
 

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いくつものギャラリー、店舗に約10人のガラス工芸作家さんたちの作品が飾られていて、舞台となっている神楽坂という街そのものを楽しみつつ、各作家さんたちの個性に溢れた作品を楽しむイベントだ。
昨年2月に長野市で開催された「門前百景写真展」を思い出す。
 

» 門前百景写真展開催

 
あちらの「門前百景写真展」は門前に暮らす人々が日常の風景を写真で綴り、それを各所の店舗などに飾っていた。観光客とはまた違う視点で撮られた写真の数々は、あくまでも「日常の景色」であって、だからこそ、そこがおもしろかった。
 
今回の「神楽坂ガラスさんぽ」は、各作家さんと街の結びつきは低く、各展示スペースへの思い入れもおそらくはないのだろう。
そういう意味では、形態こそ似たイベントではあるものの、両者のコンセプトは確実に違う。
どっちが上とか下という話ではなく、ただ、“違う”だけで、「神楽坂ガラスさんぽ」も、今まで通ったことのない路地、入ったことのない、どころか、存在すら知らなかった店との出会いなどがあり、とても楽しめた。
こういう「街」そのものを舞台、素材として扱っているイベントは、なんだかんだと、やっぱり、楽しい。
 
今回の作品展は、釣り友達のお友達、という関係でFacebookで繋がった 鍋田 尚男 (Hisao Nabeta) さんが参加されているので知ることになった。仙台在住の鍋田さんは、秋保に工房兼ギャラリーの「ガラス工房尚」を構えられている。その作品は異なる色のガラスを幾何学的に組み合わせた「器」がほとんどだ。
 

ガラス工房 尚 ・シーダーギャラリー

https://www.facebook.com/glasssho/

 

鍋田さんの作る器はソコツモノで一人暮らしの我が身には過ぎたものばかりでなかなか購入にまでは至れないが、しかしどれも素敵な色合いで、毎度毎度、ついつい長時間見入ってしまう。
 
イベント全体で観ると、鍋田さんのような実用面も備えた「器」はごく一部。観て楽しむものが多い展示会であった。
透明なガラスをまるで水のように見立てて、なかに立体的な構造物を沈めたもの、和紙を閉じた古書のようで、観る角度を変えると墨文字が浮かび上がって見えるもの、などなど、ひとつの展示会でありながら、各作家さんごとの個性、作風、テーマ、技法はまったく違い、展示されている作品の幅の広さには驚かされた。
 
ガラスの工芸作品は、出来上がったその姿を見て楽しむのはもちろん、もうひとつ、「どういう工程を経て作ったものなのか」を想像する楽しみがあるのがいい。
もちろん、ある程度の想像はついても、実際の苦労は遥かにそれを超える。たとえばガラスの大きな塊のような作品などは、形を作ってから冷めきるまでに、2か月から3か月もかかったりするそうだ。
しかも、その時期になって急に割れてしまうこともあったりする、とのこと。
ガラスを使った作品作りは基本的には熱との戦いであり、過酷な作業を経たうえに、壊れず生き残ったものだけが、作品として光を浴びる。
そう、ちょっとした衝撃で欠け、割れるガラス素材の持つはかなさもまた、魅力のひとつ、なのだ。